日本の住宅の寿命はわずか30年。
イギリスの住宅寿命は141年。そしてフランスは85年、ドイツ79年、アメリカが103年に対し圧倒的に短いのが実情です。価格も高く、一生働いても「我が家」を手に入れられるかどうか。こだわりの家を建てたいと願っても、なかなか叶う環境ではありません。そんな中、30年以上「本当にいい家とは何か?」を考え続けてきた人と出会いました。
今回は、株式会社秀和・代表取締役の篠原和芳さんにお話をうかがいます。

─篠原さんが社長を務める株式会社秀和は、北欧輸入住宅を手がけるハウスメーカーの中でも、草分け的な存在です。その家づくりの姿勢には、いい意味で驚かされることばかり。まずは、篠原さんの言葉をいくつかご紹介します。
「一般的なハウスメーカーでは、施工中の仕様変更は受け付けてもらえないことが多いようですが、秀和ではそんなことはありません。そもそも、お客様が図面や小さな模型から住まいの完成形をイメージするのは難しいもの。設計・施工をしている私たちでさえ、建てている途中に“もっとこうした方がいい家になるのではないか”と気づくこともあります。ですから、秀和では、建築中の仕様変更をできる限り受け付けていますし、逆に、私たちから変更をご提案する場合もあります」
「家づくりにおいては、私一人ですべての工程を見ます。設計士は私です。施工の現場監督も私。大工の棟梁も私です。その家についてトータルで考えることができるので、コストカットにもつながります。工期も短縮できます。コミュニケーションのロスもありません。お客さんとの信頼関係があってこその体制ですし、一度にたくさんの家は建てられませんが…」
「ローコストな家を建てているハウスメーカーの多くは、現場の大工さんや設備業者さん泣かせです。でも、安いお金で無理やり工事を請け負わせて、本当にいい家になるのでしょうか? 余計な宣伝費や営業マンの人件費をかけなければ、コストパフォーマンスが高い住まいをつくることができます。みんながハッピーな気持ちで仕事ができれば、気持ちの良い家になる。お客さんも、私たちも、下職さんも、みんなで一つのチームとして、いい家を作るという目的に向かうことが大切だと思っています」
「不思議なことに、秀和で家を建てると、施主さん同士が仲良くなるんです。みんなで花火大会を見に行ったり、クリスマスパーティーに呼んでいただいたり。若い施主さんも多いですから、まるでわが子のように思えてくるほどです」
─今の日本の住宅業界の「悪い常識」を一切取り払い、お客さんとじっくり向き合う家づくりを行う篠原さん。それを実現できるのは、篠原さんの思いと、長年の経験に裏打ちされた知識と技術によるところが大きいのでしょう。ここに至るまでの篠原さんの半生を振り返ります。