少子高齢化、未婚者や熟年離婚の増加――。
家族という生活の単位は細分化する一方です。かつては「子どもが親を看取り、先祖代々の墓を守る」のが一般的でしたが、現在ではその仕組みは崩壊しつつあります。また、経済格差が広がり、医療を満足に受けることもできずに亡くなる方や、お葬式をあげるお金がない方も増えています。そんな中、「自分が死んだあとの葬儀やお墓をどうすればよいだろうか」という身寄りのないお年寄りや、「お金がないので、お墓が準備できない」と困っている方々にそっと手を差し伸べる活動をしているNPO法人があります。その名は「スノードロップ」。
今回は、春の訪れを告げる小さな白い花、スノードロップに想いを託し、社会起業家として活躍中の布川智恵子さんにお話をうかがいます。

─現在、身寄りのない方やお墓がなくて困っている方に安価な共同墓や永代供養墓を紹介するなど、社会的意義が大きい活動をなさっている布川さん。NPO法人スノードロップを立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?
「私は、檀家に属していない方などのご葬儀の際に、住職さんや宮司さんを紹介する事務所、“ハートフルライフ”の代表をしています。その仕事のつながりで、ある時葬儀社さんから電話がありました。ある男性が亡くなり火葬したものの身寄りがなく、お骨をどうすればよいか困っている、安く預かってくれるお寺を探してほしい、とのこと。そこでお骨を受け取りに行ったところ、亡くなった男性の所持金はたったの2700円程度だったのです」
「とりあえずそのお骨と葬儀社さんが準備してくださった1万円札、そしてその方の所持金の2700円を持って、安くお預かりしてくださるお寺さんを探しました。でも、普通のお寺さんは自分のお寺でお葬式をあげた人ならともかく、まったく関係のない方のお骨はなかなか預かってくださいません。もちろん、受け入れてくださるお寺さんもありますが、かなり数が少ない状況にショックを受けました」
―様々なお寺を訪ね歩き、ようやく男性のお骨を預かってもらえた布川さん。このような経験から、経済的に恵まれない人やお墓が持てない人を受け入れる場がもっとあれば、という思いが募ったそう。そんな中、安価な共同墓を提供するNPO法人の活動を知り、布川さんの心に明かりが灯ります。
「群馬のあるお寺で住職さんがNPO法人を立ち上げ、安価な葬儀や共同墓を提供されていたのです。その方とお会いして、『自分も、こういう活動ができたら・・・』という想いが強くなりました。NPO団体にしたいと思ったのは、活動で上げた収益は必ず社会貢献に使わなければならない、という規約があるから。自分のためだけに利潤を追求するのではなく、社会のために活動したいと思いました」
―2007年9月、ついに布川さんはNPO法人「スノードロップ」を立ち上げ「人生の締めくくり」をサポートする活動スタートさせます。
「スノードロップは、まだ寒い冬に咲く小さな白い花です。花言葉は『希望・慰め』、そして『まさかの時の友』。まさに私たちの想いを表してくれています」